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GNU Emacs に初めて出会ったのは、入社した時に使った Nemacs でした。Solaris2.6 にインストールされていました。2000 年入社なので、使い始めてもう 10 年です。

ちょうど良い区切りなので、初心者から脱却したい人向けに、まとまった文章を書くことにしました。今回はそのイントロです。GNU Emacs は Emacs と略します。XEmacs の話はしない予定です。

さて、入社当時の話に戻ります。

最初は訳が分からなかったため、Nemacs はすぐに使わなくなりました。Windows に C ソースをコピーして秀丸で編集したり、rmail を使わずに Becky! を使ったりしていました。しかし、Windows がない環境で仕事をすることになったため、腹を決めて Emacs と付き合っていくことにしました。

その環境には運良く Mule がインストールされていました。私は C ソースを Mule で編集し、mh-e でメールを読み書きすることになりました。

そういえば、今も覚えていることがあります。当時はファイルを開くたびに Mule を起動していましたが、職場の上司は Dired でディレクトリを開いて、そこからファイルをいくつも開いていました。shell-mode も使っていたかもしれません。ああ、こういう使い方をするエディタなんだと思ったことを覚えています。

当時はいろんな人の ~/.emacs を読み漁りました。職場の人のものや、ネット上に転がっているものです。

ネット上で特に参考になったのは、GANAWARE に置いてある .emacs です。UNIX や Windows、Emacs の各バージョンの環境切り分け方法がきれいだったので、今もその名残りが私の ~/.emacs に残っています。ほかに blankspace も大変参考になりました。

そうこうしているうちに、Mule は過去のものだと知りました。当時の最新は Emacs-20.7 でそろそろ Emacs21.1 が出る頃だったと思います。

Mule は時々 X まわりの不具合に遭遇したため、1 年と使わずに Emacs-20.7 に移行しました。併せてメーラも mh-e から Mew に乗り換えました。Mew には今もお世話になっています。

ちなみに当時の開発環境は入社当時と異なり、オープンソースソフトウェアが日々バージョンアップされ、最新の技術に触れられる素晴らしい環境でした。

そのころから ~/.emacs は会社で用意された共通設定ファイルを使わずに、自分でスクラッチから書いたものを使うようになりました。スクラッチから書くために Emacs Lisp の知識が必要になったため、広瀬さんの本を購入し、多くを学ばせていただきました。

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Emacs とは関係ありませんが、広瀬さんは最近「zshの本 」という本を出されたようです。私は zsh ユーザでもありますが、それについてはまたの機会で。

話を Emacs に戻しますと、その後 Emacs21 と Emacs22 のバージョンアップに追随しました。今は自宅の Emacs は CVS 先端の 23 を使っています。

2001 年頃から自宅で使い始めた Meadow の話もしましょう。

Meadow は Emacs の Windows 移植版です。Emacs を Windows でコンパイルした NTEmacs というものもありますが、NTEmacs に比べて IME まわりの親和性、フォントの設定、画像の取扱いが優れているそうです。ただ、NTEmacs は触ったことないです。

自宅 PC には Windows しかインストールしていなかったため、Meadow + Cygwin を使っていました。そういう意味で Meadow との付き合いも長いです。

Cygwin は Linux の Windows エミュレート環境ですが、エミュレートであるが故にハマル要素は多くありました。そのため、自宅 PC に RedHat Linux をインストールし、Meadow はあまり使わなくなりました。ただ、この 1〜2 年は会社の開発環境が Windows になったこともあり、またよく使うようになりました。

Emacs にはさまざまな派生物があり、私は最初混乱しました。

Wikipedia の Emacs あたりが参考になるかもしれません。少し古いですが、Emacs の各バージョンは History of Emacs and MuleMule History Drawing としてまとめられています。

ネット上の情報が古かったのも、混乱させる要因の一つでした。そういう経験が、この「Emacs講座 」を書くきっかけの一つになりました。

第1回終わり。

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追記(2011-10-03):
「やさしいEmacs‐Lisp講座」は改訂版が出ましたよ!!

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