今年の8月から10月の3ヶ月間、総務省の家計調査に協力していました。
Wikipedia によると、
日本国内の家計の支出を通じて個人消費を捉えることができる統計。2002年からは貯蓄・負債についても調査されるようになっており、調査結果は家計収支編と貯蓄・負債編に分けて発表されている。
とのこと。2018年の餃子消費量1位は浜松市とかのアレも、家計調査の結果らしいです。https://www.e-stat.go.jp/ から誰でも利用できるようです。
はじまり
6月終わり頃のある日、突然のピンポンがはじまりでした。話を聞くと総務省から委託された調査員の方で、真面目そうなメガネを掛けたおばさまでした。年齢は60前後と推察しました。対象世帯は無作為に選ばれるらしいです。
私は10年以上家計簿をつけているし(現在はマネーフォワードを利用)、国勢調査みたいなものでしょと軽く考えていたのが想定外のはじまり。
その日はなぜか詳しい説明はなく、後日説明に再訪されることになりました。
※ 家計調査は訪問を介したコミュニケーションが多いです。オンラインを中心としたコミュニケーションが当たり前になっていると結構重いです。
想像を絶する苦行
後日の再訪で説明をよく聞くと「3ヶ月間毎日、レシートの中身をひとつひとつ全部、紙に記入する」という、想像を絶する苦行でした。そして毎月1日と16日に家計簿を取りに来るという…。予定を合わせるのも大変だし、家計簿を付ける以外のことが出来なくなりそうでした。
↓ これが1日分です。電子マネーや口座振替による支出は別のページに書きます。昭和か。
※ 家計簿の記入のしかた(単身世帯用)
P8 より引用
さすがに大変すぎるので断ろうとしたら、Web サービスもあるとのこと。え、Web がデフォルトじゃないの?
調査員の方が経験がなく講習を受けただけ(?)らしく、後日説明に来ることになりました。コミュニケーションが重い…。
シャープペンシル、芯、消しゴム、メモ帳を半ば強引に渡された。どれも普段全く使わないな。でかそうな電卓も渡されそうになったけど、さすがに断った。
— マスタカ (@masutaka) June 23, 2019
再々訪は2週間後だったでしょうか。どんな説明があるのか少し構えていたら、URLとID、パスワードを書かれた紙を渡されてその日は終わりました。うーむ。
割と断る気満々だったのですが、タイミングを逃したため、とりあえず始めてみるかという気持ちになりました。
家計調査 オンライン回答システム
https://www.e-kakei.go.jp/ です。SignUp は出来ません。Angular 製の SPA っぽくて、HTTP/1.1 でした。
最初はトップページの表示が激重でしたが、途中から問題ないレベルまで改善されました。
↓ 実際に入力したある日の家計簿です。
UI はあまり直感的でないです。例えば上の画面。しばらく経ってから、中央上部の日付をクリックするとカレンダーがポップアップし、他の日に移動できることに気づきました。日付の前後に “<” や “>” のナビゲータがあれば気づきやすいかと思います。
お問い合わせフォームはあったので、いくつか意見は送りました。例えばサイドメニューの「収支検索」でなにか記入して Enter すると、検索ではなくフォームのクリアが実行されるのは直感的でないとか。
あと、セッションタイムアウトが 1 時間くらいだったのは地味に不便でした。
家計調査スタート
実は私はこういうルーティンは得意です。ほぼ毎日マメにレシートやクレジットカード、電子マネー、現金の支出入を記録していました。文句ばかり書いていたのは、理不尽に自分の時間が奪われるから。
カメラによるレシート自動読み取り機能はなかなか良くできていて、文字認識はなんとか使えるレベル。iPhone からの記録はそれなりにスムーズでした。Mac はカメラの位置的に自動読み取りが使えなかったので、iPhone で入力して Mac で分類などを一括編集する必要があり、心折れる人は多い気がしました。
8/16, 9/1,… とそれなりに順調に提出をしていきました。覚えがないのに、10月上期分が提出されていたことは謎でしたが…。
調査員の方へのお知らせは特に必要なく、オンライン上で提出するだけです。
ただ、割と早く提出する必要があるようで、9/1 は午前中に SMS で提出依頼がありました。つらい。入力を溜めると大変そうです。
月末のお便り
家計調査通信という紙のお便りが、毎月末に郵便受けに入っていました。家計調査の方が届けて下さっていたようですが、担当世帯の数はどのくらいか想像すると複雑な気持ちになりました。
毎月お礼の品が届く
家計調査はボランティアですが、月末近くになると宅配便でお礼の品が届きます。価格帯は3000〜4000円くらいでしょうか。なかなか良い品です。ゼリーとジュースは会社で配りました。
8月の品(ゼリー詰め合わせ)
9月の品(ジュース詰め合わせ)
10月の品(カレー詰め合わせ)
10月の軽減税率スタート
運悪く、10月に消費増税とともに軽減税率が始まりました。その少し前に、前述のオンライン回答システムも UI 含めた大きなリニューアルがありました。強い。
当初は関係すると思いませんでしたが、各店レシートのフォーマットが変わり、キャッシュレス還元額の項目も増えたため、大いに関係がありました…。
例えばローソンは自動読み取りが全く出来なくなり、本当に苦行になったため、ローソンでの買い物は止めてしまいました。
軽減税率が施行されて、家計調査のカメラ読み取りがひどくなった。ローソンは壊滅。他、セブンイレブンは商品ごとの価格は税抜で、なかなか気が抜けない。キャッシュレス還元額もややこしい。
— マスタカ (@masutaka) October 6, 2019
正直な気持ちです。
軽減税率の施行によって、家計調査は絶対やるなレベルで時間食い虫になった。絶対やるな
— マスタカ (@masutaka) October 6, 2019
余談ですが、このリニューアルで「代行入力」という機能も出来ていました。試しに一度使ったところ、レシートで撮影すると人力で入力してくれる機能でした。読み取りがうまくいかないケースへの対応でしょうか。うーむ。
代行入力を依頼したところ
感想
そんなこんなで、10/31 に最後の提出をして家計調査が終わりました。
思っていたとおりに大変だったという感想です。終わって一週間くらいは、レシートを必ず受け取る習慣が残っていました。
私と違って、大多数は紙で提出しているようです。2019 年にもなって、国の統計に紙を使って大変な労力を割いていることには正直ドン引きしました。働き方改革…。
システムも紙入力の仕様を取り込みきれていないようでした。例えば外食をしたら「カレー(外食)」などと書く必要があります。統計的に、家での食事と外食は分ける必要があるようです。
クレジットカードでの自動引き落としとも相性が悪く、マネーフォワードの iOS アプリがなければギブアップしていたかもしれません。
あと、なんとなくですが裏側に温かみのある運用を感じました。紙入力が大多数なことも考えると、都庁の担当者が別なシステムにうちこみ直していても、不思議ではないです。
この記事が今後誰かの最高になれば幸いです。