カード決済業務のすべて―ペイメントサービスの仕組みとルール amazon.co.jp

業務でクレジットカード機能を実装した職場の同僚氏曰く、(確か)「始めはピンと来なかったけど、あとで必要なことが全部書いてあると気づいた」とのこと。私は実装には関わってないけど、目線を合わせるために読んだ。

全部を理解しようとせず、概要だけ理解するつもりで読んだ。幸いにもコンパクトに 157 ページにまとまっていたので、気合を入れたら一日で読めた。もちろんピンと来てなくて、1/3 も怪しいかなといったところ。

オーソリゼーション(オーソリ)の実装は必須でそれが通ったら、クリアリング(売り上げ処理)が行われ、最後にセツルメントで加盟店に利用代金が支払われる。
とか、そんな程度。

第1章「決済カード業務の概要と実務」でいきなりつまづいた。

全体的に説明が分かりづらい。対象が初心者向けなのに具体例が少なく、想像しづらいためだと思う。一方で途中のコラムは具体例多めで、理解しやすかった。

第2章「カード決済ネットワークの概要と実務」は、ビザやマスターカードなどの国際ブランドの話から始まり、割と理解しやすかった。特に P104 の図は具体的でとても良かった。こうやって各所収入を得ているのね。

P85 のアクセプタンスの話は少し気になった。

 アクセプタンスとは「特定のブランドを付したカードの平等な受け入れ」を表し、加盟店は、ビザブランドカードであればビザのロゴマークを付したカードのすべてを、その利用者がカード発行者と契約した決済方式ークレジット、デビット、プリペイドなどーにかかわらずまったく平等に取り扱わなければならない。いいかえれば、クレジットカードは受け入れるが、デビットカードは受け入れないということは許されない(ただし、オンラインオーソリ専用デビットカードのように、その仕組の制約から一部の加盟店でしか利用できない決済カードはある)。

実際は出来ていないケースも多いと書いてあった気がする。個人で愛用している、プリペイドカードである Kyash は Web 上の決済に使えないことは多いけど、それぞれのサービスがこのアクセプタンスに違反しているってことかな?

第3章「金融決済用ICカード」はページ数が少なく助かった。とは言え、IC カードの概要や EMV、少額決済スキームが説明されている。読み飛ばさないほうが良いと思う。

2012 年の本なので、ここ一年で広まった QR コード決済や、各国の決済事情なども盛り込んだ改訂版の登場が待たれるところ。

アクワイアラとイシュアが理解しづらかったので、最後に簡単にまとめておく。

アクワイアラはクレジットカードの加盟店の獲得と管理をしており、イシュアがクレジットカードを発行する。歴史的経緯により、日本では同じ会社が兼任することが多いそう(だから分かりづらい)。海外では原則として銀行がアクワイアラとのこと。

<セゾン・アメリカン・エキスプレス・カードの例>
アクワイアラ:ユーシーカード株式会社(クレディ・セゾンの子会社)
イシュア:株式会社クレディ・セゾン
国際ブランド:AMEX